JEPA4Japan · チュートリアル

第7章―SIGReg:点の雲を影から調べる

1,307文字 3分で読めます #LeVJEPA#JEPA#自己教師あり動画学習#SIGReg

無作為な一次元射影、特性関数、ガウス参照から、LeJEPA 由来の崩壊防止機構をつかみます。

コース進捗 コース目次 34レッスン中 34件を公開中

第0部―まず地図を広げる

  1. 01 第0章―始める前に:この講座でできるようになること 公開中
  2. 02 第1章―同じ動画を、二つの窓から見る 公開中
  3. 03 第2章―Yann LeCun の研究路線をたどる 公開中
  4. 04 第3章―名前に迷わないための JEPA 家系図 公開中

第1部―簡単な目的で、なぜ動画が分かるのか

  1. 05 第4章―動画は自分で問題を作れる 公開中
  2. 06 第5章―全ピクセルではなく、意味を残す 公開中
  3. 07 第6章―二枚は同じに。でも全部を白紙にはしない 公開中
  4. 08 第7章―SIGReg:点の雲を影から調べる 現在のレッスン
  5. 09 第8章―一行の目的関数で LeVJEPA を読む 公開中

第2部―一本の動画を一台のエンコーダーへ

  1. 10 第9章―大域ビューと局所ビューの作り方 公開中
  2. 11 第10章―動画を時空間の小片に切る 公開中
  3. 12 第11章―一台のエンコーダー、一つの投影ヘッド、一枚の要約札 公開中
  4. 13 第12章―一回の前向き計算を端から端まで 公開中
  5. 14 第13章―95%捨てると、なぜかよく見える 公開中
  6. 15 第14章―ブロック因果注意:同じ時刻は見える、未来は見えない 公開中
  7. 16 第15章―RoPE、1フレーム tubelet、思いがけない密特徴 公開中

第3部―実験を読めてこそ、論文を読んだと言える

  1. 17 第16章―五段のアブレーションが答えること 公開中
  2. 18 第17章―同じ周回数は、同じ費用ではない 公開中
  3. 19 第18章―ImageNet、K400、SSv2 は何を試すか 公開中
  4. 20 第19章―論文の結果を帳簿にする 公開中
  5. 21 第20章―まだ言ってはいけない結論 公開中

第4部―公式リポジトリから自分の実験へ

  1. 22 第21章―公式リポジトリの見取り図 公開中
  2. 23 第22章―Walking Tours:10本の長編を学習データにするまで 公開中
  3. 24 第23章―既定設定を読み、学習を始める 公開中
  4. 25 第24章―うそをつかない小さな動作確認から始める 公開中
  5. 26 第25章―学習なしで公開重みから特徴を出す 公開中
  6. 27 第26章―自分の動画を凍結評価する 公開中

第5部―表現を世界モデル構想へ戻す

  1. 28 第27章―大事な境界:LeVJEPA は計画器ではない 公開中
  2. 29 第28章―LeVJEPA を次の世界モデルへつなぐ 公開中
  3. 30 第29章―入門から論文まで、10の研究プロジェクト 公開中

付録―必要なときに開く技術リュック

  1. 31 付録A―これだけは要る数学道具箱 公開中
  2. 32 付録B―完全テンソル形状表 公開中
  3. 33 付録C―用語集と論文年表 公開中
  4. 34 付録D―再現とレビューのチェックリスト 公開中

高次元を影で見る

  1. 点の雲高次元埋め込み
  2. 照らす無作為方向
  3. 影を見る鐘形か
  4. 何度も丸い雲へ
SIGReg は高次元を直接見回らず、いろいろな向きに落ちる一次元の影を検査します。

懐中電灯の検品

机に正体の分からない積み木の塊があります。みちるは懐中電灯の向きを変えながら照らします。ある向きの影が一点なら、その方向に潰れています。多くの向きで中央が滑らかな鐘形に見えれば、細い隙間に押し込まれてはいないようです。

ただし、一日に照らせる向きは有限で、机にある積み木も一つのサンプル集合にすぎません。「変な影を見なかった」ことは、「宇宙の全方向を調べた」ことにはなりません。

sketched の意味

各視点は K 次元埋め込みになり、多数のサンプルで高次元点群を作ります。SIGReg は Sketched Isotropic Gaussian Regularization の略で、sketched は低次元への素早い写し取りを指します。目標は標準等方正規分布 N(0, I) です。中心はゼロで、どの単位方向も同じ尺度を持ち、分散ゼロに潰れた方向がありません。

橋渡しをするのが Cramér–Wold の考え方です。高次元確率変数をあらゆる一次元方向へ射影し、すべて標準正規分布と一致すれば、同時分布は標準等方正規分布になります。実装では無作為な単位ベクトル a_m を取り、埋め込み z_i をスカラー <z_i, a_m> へ落とします。その経験特性関数、つまり正弦と余弦で作る分布の「指紋」を、標準正規分布の解析的な指紋と比べます。LeVJEPA の固定実装は、1ステップごとに1,024方向を引き、t ∈ [0,3] の17点で数値積分します。複数方向・複数視点の損失を集約する Epps–Pulley 型の統計量です。

全埋め込みが同じなら影には幅がなく、分散1の正規分布と大きく異なります。低次元平面だけに点があれば、垂直な向きが分散ゼロを暴きます。SIGReg の勾配は埋め込みから投影器とエンコーダーへ直接戻ります。負例や教師枝は要りません。

理想的な定理とコードは分けて考えましょう。実際の1ステップは、有限のサンプル集合、無作為方向、数値積分点を使う確率的な近似で、最適化が収束するとも限りません。SIGReg が一度低かっただけで、母分布が全方向に厳密な正規分布だとは言えません。物理状態を表すとも言えません。あくまで、理論的な根拠を持つ崩壊防止の圧力です。

鉛筆で試す

横一列に点を10個描きます。横からの影は広くても、縦からなら全部一点です。一方向だけでは次元崩壊を見逃すことが分かります。無作為方向を増やすほど見つけやすくなりますが、有限回の検査は全方向の証明ではありません。

参照先

三つの要点

  1. SIGReg は無作為一次元射影で、高次元埋め込みが等方正規分布に近いか調べます。
  2. 定数点群や低次元の平たい雲は、どこかの向きに不自然な影を落とします。
  3. 有限のサンプル集合・方向・数値積分は近似で、低損失は完全な分布証明ではありません。

影絵クイズ

  1. sketched は何を指しますか。
  2. 横向きの影だけでは何を見落としますか。
  3. SIGReg が低ければ、物理法則を学んだと言えますか。
答えを見る
  1. 無作為な低次元射影で高次元分布を素早く写し取ることです。
  2. まだ検査していない縦方向への崩壊です。
  3. 言えません。検査した分布の退化を抑えた証拠にとどまります。